胡椒(ペパー)を使いこなす(効能・相性の良い食材)
ホワイトペパーの4倍の辛さを持つブラックペパー
世界中で親しまれている胡椒(ペパー)には黒・白・緑の3種類があります。
「ブラックペパー」は未熟果を乾燥させたもので、果肉を除去したホ「ワイトペパー」よりも4倍ほど辛味が強いと言われています。
グリンペパーは未熟果を色が残るように人口処理したもの。
ファンの多いピンクペパーはコショウボク、または西洋ななかまどの果実で、実はペパーとは別種の果実になります。
ペパー(胡椒)の成分
*コショウ科の多年草*
リピペリン、シャビシン、カンンフェン、カリオフィレン、ピネン、リモネン、フェランドレン…etc
ペパーは爽やかな辛味が特徴です。
果物に多く含まれているリモネンが含まれているため、辛さだけでなく爽やかさが感じられます。
辛味のあるスパイシーな香りの奥に、爽やかな柑橘系の香りがあるのを、是非一度確かめてみてください。
また、胡椒の芳香と辛味は、味や塩気の足りない料理にメリハリをつけてくれるので、食事療法などにおける減塩効果(塩の代わりに胡椒を使うことで塩分を控える)が注目されています。
食べるともたれてしまいそうなコテコテの豚骨ラーメンにも、胡椒をかけることで脂っこさをごまかすことが出来ちゃうのが、胡椒の特徴です。
スパイスコーディネーターの食薬ノート
ペパーの辛味成分は唾液の分泌を促すとともに、胃の粘膜を刺激し胃液の分泌を促すため、食欲増進効果があります。
また、腸で辛味成分が吸収され血液の循環が高まるので、血流量が上昇し体温が上昇するので栄養素の吸収が高まると言われています。
胡椒(ペパー)の効能・美容効果
- 唾液の分泌・胃液の分泌促進による食欲増進・消化促進効果
- アドレナリンの分泌を促し、血糖の増加と脂肪代謝を活発にする効果
- 持久率UP・代謝率UP
最近では、レッドペパー、ペパー、ジンジャーは、副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促し、血糖の増加と脂肪代謝を活発にすることが注目されており、持久力UPでエネルギー代謝が高まる効果が期待できます。
「風邪をひいたかな?」と感じるような時は、ブラックペパーの効いた熱いトマトスープやカボチャのスープなどを飲むと、身体が芯から温まり喉の痛みなどにも効果的です。
ジンジャーパウダーを加えて発汗を促せば、さらに最強です!
ペパー(胡椒)と相性の良い食材
ペパーは、数多くあるスパイスの中でも、最も多くの料理に適合するスパイスです。
ほとんど全ての料理に適合すると言われており、甘い香りのチャイやバニラアイスクリーム、チョコレートとも相性抜群です。
乳製品は、胡椒を振る事で、牛乳の臭みがとれ、さっぱりとした味わいに変わります。
胡椒チーズなどは、ピリッとした辛さを楽しめるだけでなく、胡椒がチーズの脂っこさと臭みを弱めてくれているんですね!
肉、魚には臭み消しを主として、またスープには芳香付けとして、下ごしらえ、または調理中に利用します。
ピクルスには香りや辛味付けだけでなく、防腐効果も期待して利用することができます。
胡椒の適合食材
- ほとんど全ての食材
- アイスやチョコレート、チャイなどの甘い香りのもの
- 卵・クリーム・チーズなどの乳製品
- 肉・魚の臭み消しに
- ピクルスには香味付と防腐効果を期待して
- レモン・果物・ビネガーなどの柑橘系の香りがするもの
また、調理中ではなく、食べる直前にもういちど胡椒を振ると、胡椒の香りと辛味、スパイシーさを感じる事ができるほか、素材の脂っこさや薄味の調整になります。
柑橘系のフレーバーがあるので、レモンや果物、ビネガーとも相性が良く、サラダドレッシングやドリンクにも幅広く利用されています。
ブラックペパーは、辛味やストレートな風味がほしい時に、白胡椒(ホワイトペパー)はやさしい辛味がほしい時やクリームシチュー、白身魚など、色の薄いお料理に、それぞれ用途に合わせて使い分けるのが秘訣です。
冷蔵庫がない時代に「保存と香味付」で大活躍した胡椒
ギリシャでは紀元前5世紀頃から胡椒を医薬品、特に毒薬の解毒剤として利用していたそうですが、それを積極的に食品に利用しはじめたのがローマ人。
新鮮な食料を入手し、それを維持することが難しかった時代に、「保存」と「香味付」の効果を発揮したのが胡椒でした。
乾物や薫製、塩漬けの食品は臭みがあるので、ペパーや他のスパイスと合わせて調理することで、素晴らしく美味しくなったはずです。
スパイス取引をベニスが完全に独占していた15世紀、その膨大な利益に他の国々もあやかりたいと、悪天候の外洋に船をだしたのが大探検時代の始まりです。
新大陸を発見しようとしたコロンブスの本当の目的は、当時、金と同じ価値だった胡椒の発見だったんです。
そう考えると、胡椒は大きく世界史を変えた、偉大なる食物だったんですね。
冷蔵庫の普及や保存料(ビタミンC(アスコルビン酸など))が食品に添加されるのが当たり前の現代では、大航海時代ほど胡椒に熱望する人は少ないかもしれませんが、香りをはじめ、その薬効は現代の私達にも非常に刺激的に、そして有効に作用してくれています。
特に自然食を好む方にとっては、胡椒は数少ない自然の調味料として活躍してくれているはずです。