シナモン/カシア(桂皮)を使いこなす(効能・相性の良い食材)

世界中のブレンドススパイスに使われているシナモン

シナモンは、世界各国の代表的なブレンドスパイス(ミックススパイス)に配合されています。

フランスの「カトルエピス」、中華料理に欠かせない「五香(ウーシャン)」、カレーに必須の「ガラムマサラ」、インドのミルクティー「マサラチャイ」にも配合されています。

シナモン・カシヤ(桂皮)の成分

*クスノキ科の常緑樹*
シナミックアルデヒド、オイゲノール、ピネン、フェランドレン、クミンアルデヒド、リナロール…etc

シナモンをほんの少し配合するだけで、ブレンドに深みが出るので、私がブレンドスパイスを調合する時には、かなりの頻度でシナモンを調合しています。

繊細な香味のセイロンシナモンと刺激的な香味のカシア

シナモンには「セイロンシナモン」と「カシア」の2種類があります。
スティックになったものが「セイロンシナモン」で写真のような樹皮の皮のようなものが「カシア」と呼ばれるものです。

セイロンシナモンは上品で繊細な香味。
その名の通りスリランカ産が多く、西インド諸島で収穫されます。

紅茶や焼き菓子などには、この柑橘系の上品な甘い芳香の「セイロンシナモン」がよく使われます。
皆さんご存知のシナモンスティクです。

セイロンシナモンとカシアの違いを知って使い分けよう!

  • 紅茶や焼き菓子、上品なお料理には「セイロンシナモン」
  • パンチのあるインド料理(カレー・チャイ・ラム肉)には「カシア」

一方、「八つ橋」に使われているのが「カシア」パウダー。

香味も強く強壮的、産地としては中国産が有名です。
別名を「桂皮(ケイヒ)」と言います。

カレーやチャイなどインド料理や刺激的なお料理は、この「カシヤ」と呼ばれる種類のシナモンを使います。

市販されている「シナモンパウダー」は基本的にはこの「カシア」を粉末にしたものですが、「カシアパウダー」ではなく「シナモンパウダー」という商品名になっています。

「セイロンシナモン」のパウダーはほとんど流通していませんが、VOX ORGANIC SPICEさんの「シナモンパウダー」は贅沢にも「セイロンシナモン」をパウダーにしたものです。

値段的にも、当然、「セイロンシナモン」の方が「カシア」よりも高額です!

「カシア」はセイロンシナモンに比べ、渋みや収れん性を感じますが、シナモン独特のパンチを感じられるので、カレーに配合するガラムマサラやチャイに使うシナモンは、「カシア」を選ぶとよいと思います。

セイロンシナモンとカシアの違いを知って使い分けましょう!

スパイスコーディネーターの食薬ノート

漢方薬でも処方されるシナモンは、生姜(ジンジャー)よりも身体を温める「温熱」の性質を持っています。
お腹を温めてくれるので、冷えによる胃腸障害や痛みに効果があるとされています。

生姜はマスコミの影響で身体を温めるスパイスだと思われていますが、実は、生姜(ジンジャー)の1番の効能は「発汗作用」。

漢方養生学では、風邪などの不調を「邪気」や「風邪」と呼び、外側(身体の体表、毛穴)から体内に侵入してくると考えます。

そんな時に発汗作用のある生姜(ジンジャー)で内臓を温め、汗をかくことで、体表についた「邪気」を洗い流して落としてくれると考えます。

少し寒い思いをしてしまった時や、免疫力が低下して喉が痛くなってしまった時は、生姜とシナモンを濃く煮出したお湯で紅茶を入れてみてください。

汗がダクダクと出てきます。
よく吹いて、そのまま暖かくして寝れば、体調回復に一役かってくれるでしょう!

シナモン・カシアの効能・美容効果

  • 冷えによる胃腸障害や痛みの緩和
  • 温熱効果による強壮効果や疲労回復効果
  • 血流改善による毛細血管を修復・強化する効果(薄毛に効くと言われる理由)
  • 月経不順やPMS(月経前症候群)、更年期障害なでの婦人科系不調改善効果
  • 腹痛や下痢、発熱、嘔吐

このシナモンの温熱効果は、血の巡りを良くしてくれる効能ゆえの効果です。
内蔵を温め、腎に働きかけて元気を補ってくれるので、強壮効果や疲労回復効果があると言われています。

「血の巡りをよくする」効果と「腎に働きかける」2つの効果が、薄毛(ハゲ)に効果をもたらすと言われている所以です。

シナモンには髪の毛に栄養を運ぶ毛細血管を修復・強化する成分が含まれているのです。

月経不順やPMS(月経前症候群)、更年期障害なでの婦人科系疾患にお悩みの方にもお薦めのスパイスと言われる理由も同じです。

その他シインドでは、シナモンは腹痛や下痢の治療薬として、また和漢薬として発熱、嘔吐にも利用されているそうです。

薄毛は「腎」が弱っている?!

漢方養生学では、髪の毛は「腎」が司っていると考えます。

「肝腎要(かんじんかなめ)」と言われる大切な「肝臓」と「腎臓」ですが、鋭気や若さは腎臓の強さに現れます。

貧血や血不足だと、髪の毛が抜けたり、猫毛になったりしますが、いわゆる房事不摂生などで体力を消耗し過ぎても、髪の毛が抜けたりします。

これは、腎臓が弱っているシグナルでもあります。
腎が強い人は、髪の毛も健康で白髪が少ないことが多く、鋭気や若さの象徴とも言えますね。

しかし、だからと言ってシナモンを食べ過ぎては行けません!!

シナモンの主要成分である「クマリン」は、過剰に摂取すると肝機能障害を誘発すると言うレポートが出ていますので、スパイスは食べものであることを忘れずに、上手に日々の「おうちごはん」に取り入れてください。

シナモン・カシアと相性の良い食材

シナモンの甘い香りは、お菓子やドリンク、果物と相性が抜群ですが、私のオススメは、シナモンをひき肉料理に使う方法です。

臭み消しに効果的なオイゲノールを成分に含んでおり、甘いものだけでなく豚肉などに使用すると深みのある良い香りと味が楽しめます。

シナモン・カシアの適合食材

  • ハンバーグなどのひき肉料理
  • トマトを使った煮込み料理
  • オムレツなどの卵料理
  • カボチャやサツマイモなどの甘味のある根菜類
  • リンゴ・バナナ
  • コーヒー・紅茶・赤ワイン

カレー以外の肉料理に使う時は、必ずブラックペパーやパセリと一緒に使い、分量はブラックペパーの1/2程度にするのが秘訣です。

トマトケチャップやソースの原料としても利用されているので、お肉のトマト煮込みなどを作る際に、下ごしらえでお肉に振るのもオススメです。

ハンバーグにナツメグを入れる方は、シナモンも一緒に混ぜてみてください。
驚くほどに美味しい、レストランのハンバーグになりますよ。

オムレツなどの卵料理もナツメグを入れたりしますが、そこにシナモンをプラスするとさらに美味しくなります。
ただし、入れすぎには要注意です。2-4つの卵に対して、耳かき1杯程度で十分です。

シナモンで、香味をつけようとするのではなく、お料理全体に深みを持たせるつもりで使います。

ですので、シナモンが入っていることが分からない程度の分量がベストな分量となります。

その他には、カボチャやリンゴ、バナナのお菓子に使われる果物や、コーヒー、紅茶、赤ワインとも相性が抜群です。
アップルパイ、パンプキンパイ、ホットワインには欠かせないスパイスです!