カレー粉を乾煎りする必要はありますか?…問題


今日は、カレー粉・ガラムマサラを乾煎りしたくて仕方がない男たち・女たち(笑)

について書いてみようと思います。

企業セミナーでガラムマサラ調合の講座をさせていただく時に、ホール(原型)のスパイスを

・乾煎りする時と

・しない時

の違いを説明して、「ガラムマサラを乾煎りする必要はないですよー」とお伝えするのですが、講座終了後にされる質問は、

カレースパイスは乾煎りしてはいけないのですか?

というものばかり!!

皆さん、Youtubeやネットの情報を見ているからなのか、とにかくスパイスを乾煎りしたくて仕方がない模様です。

スパイスを「乾煎りする」という行為は、「エイジング」と言って、酸化を促す効果を出すための作業。
調合したてのスパイスを乾煎りすることで急速に酸化させ、香味にまとまりを出す。
これが目的です。

ということは、どういうことなのか? ちょっとじっくり考えてみてください。

そもそもインド料理とは、音楽でいえばロックとかパンクみたいなパンチのあるもの。

調合したてのガラムマサラでカレーを作る時、炒めたり、煮込んだりと加熱という調理を加えていくので普通に料理してもスパイスはエイジングされていく訳です。

それなのに!!??

あえて調理の前にフレッシュな香り高いスパイスたちを、わざわざ酸化させる必要が本当にあるのでしょうか?

答えは「No」です。

ホールのスパイスを乾煎りする時はどんな時?

火を使って調理するスパイス料理において、スパイスを乾煎りして使う必要はありません。

乾煎りして酸化を促し調和を深めるまでもなく、煮込んだり焼いたりするわけですから、むしろフレッシュなスパイスを生の肉や魚などの食材と触れ合わせ、臭みを消すなどの化学反応をさせることが、美味しいスパイス料理ができる秘訣です。

では、どんな時に「スパイスを乾煎り」すると良いのか。
それは、

火を通さない冷製のお料理に使う時

優しい味・穏やかな香味の料理に使う時

などですね。

冷製の料理は、冷製ですから調理の過程でスパイスに火を通すタイミングがありません。

例えば、ヨーグルト仕立てのインドのサラダ「ライタ」などが良い例です。
ヨーグルトにガラムマサラをそのまま加えて混ぜますから、ガラムマサラをあらかじめ乾煎りして調和を促し、香味をマイルドにしておくと、美味しいサラダになる….という感じです。

そして、優しいお味。穏やかなお料理にも乾煎りしたスパイスを使います。

料理の主役は素材となる食材の味ですから、それを邪魔しないように、スパイスを乾煎りしてマイルドになったものを使ってあげる!

そんな感じです。

スパイスの乾煎り作業は、スパイス料理の中で最も楽しい工程だったりもします。
やってる感も出るし、良い香りだし。気持ちも上がるし!!!

でも、美味しい料理を作ることが目的ですから、

「なぜ、乾煎りするのか」

スパイスを乾煎りしたらどんな効果が出るのか?

行為の目的をしっかり考えてからやりましょう!

マスコミさんやネットの情報にどうぞ惑わされず、自分の嗅覚と味覚、そしてスパイスを何の為に使うのか、目的を明確にしてスパイス料理を作っていきましょう。

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